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文科から技術職は無理w

25 名前:理系OBの告白 その2:2005/04/11 19:07
欧米の伝統校に工学部はない

エール大学に留学したとき、私がまず驚いたのは、神学部があり、しかも大学の
中で重要な地位を占めていることだ。その半面で、工学部はない!

その後、工学教育もまったく行なわれていないわけではないことが分かったが、
キャンパスのどこかで細々となされているだけだ。どこに建物があるのかすら、
分からないほどである。この状況は、ハーバード大学でもプリストン大学でも
同じだ。日本の国立大学の工学部が、キャンパスの中心に堂々と居座っている
のとは、だいぶ違う。

もちろん、時代とともに大学も変わってきた。現在では、神学部はない大学の
ほうが多いし、アメリカの大学で重要な地位を占めているのは、ロー・スクール、
メディカル・スクール、それにビジネス・スクールである。しかし、アメリカ
東部のアイビーリーグ校で工学部の存在感が薄いのは、いまでも変わらない。

この背後には、「工学は実用的ノウハウであり、真理を追究する大学で教える
のは適当でない」との考えがある。工学の最高レベルの教育は、ドイツ語文化圏
では、Technische Hochschuleと呼ばれる教育機関で行なわれていた。日本では
「工科大学」と訳されているのだが、文字通り訳せば「工科高等学校」である。

Hochschule(高等学校)という名称は、大学より格下であるとのニュアンスを
感じさせる。有体にいえば、「高級職工学校」という感じなのである。アイン
シュタインは、チューリッヒ工科高等学校の卒業だから、ヨーロッパ人の感覚
でいえば、「職工の親玉」というところだろう。コンピュータの基本概念の
考案者である20世紀最高の数学者、フォン・ノイマンも同じである。

ヨーロッパのTechiniche Hochschuleに相当するのが、アメリカでは
Institute of Technologyと呼ばれる教育機関だ。MIT(Massachusetts
Institute of Technology)は、その代表だ。いまでは、Institute of
Technologyは大学と同格と考えられているし、教育・研究の質においても
内容においても、大学と変わるところはない(経済学者のポール・サミュエルソン
教授がMITの教授であることはよく知られている)。

しかし、昔からそうだったかというと、必ずしもそうではない。事実、
サミュエルソンは、ハーバード大学への採用を(多分ユダヤ人であるという
理由によって)拒否され、やむなくMITに移った。彼自身が、そのことを
著作の中で(怨念をこめて)書いている。少なくともサミュエルソンの
頭の中では、MITとハーバードは同格に扱われていないようなのである。
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